年次有給休暇取得が負担となる怪: 疲弊する大学の労働環境

摘要

労働基準法の改正に伴い，2019年4月より，年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して，年次有給休暇の日数のうち年5日については，使用者が時季を指定して取得させることが必要となり,大阪大学でも，これを実施するために就業規則が一部改正された.厚生労働省は，「働き方改革」の一環として，年次有給休暇の取得促進のために，これを実施するとしている.しかし，そもそも有給休暇は労働者の権利であり，労働者の必要に応じて自由に取得することが保証されている.有給休暇を取得しないことは，無賃で企業のために労働奉仕しているに等しい.それにも関わらず，日本ではその取得率が低調なのである.厚労省は，その原因を「職場への配慮やためらい等」であると説明する.本当なのだろうか？