19世紀フランス建築装飾における装飾家および産業芸術家の役割に関する研究彫刻家ジュール・クラツグマンの事例を通して

摘要

さまざまな分野で産業化が促進された19世紀においては、産業と 芸術の融合も大きなテーマとなっていた。このような背景から産業 芸術（art industriel）という概念がうまれ、産業芸術家（artiste industriel）という職能が形成されていく。フランスにおいては、これら産業芸術家は19世紀前半を通じて活動が生じ、19世紀後半にはさまざま な協会や連合が結成され、公に認知されるようになる。彼らは19世 紀の装飾に大きな影響を与え、芸術という概念自体を相対化させな がら、19世紀後半における装飾芸術というジャンルの形成に大きく 関わっていく。ところでこれら産業芸術家は、のちにみるように装 飾のモデルを構想することで産業芸術に貢献していくのだが、この ような職能の前身として装飾家（ornemaniste）をあげることができ る。装飾家においても、モデルの構想はその重要な機能であった。%This study tries to reveal the role of the ornemanistes and the artistes industriels in the architectural decorations in nineteenth century France. Analysis of their function shows that they both had an important role as a creator of the models. While artistes industriels, however, worked for the manufacturers, ornemanistes collaborated with other artists and craftsmen. The works of the sculptor Jules Klagmann in nineteenth century, would be examined as a case study which specifically shows the role of the two professions in this periode.