インフォーマル市街地のパブリックスペースにおける住民間交流の特質ナイロビのィンフォーマル市街地における空間マネジメントに関する研究

摘要

近年、豊かな暮らしを支える都市空間の重要な構成要素としてパプリックスペースが再評価されているガ、途上国都市のインフォーマル市街地においてもその役割が注目されている。2016年国連総会で承認されたニュー·アーバン·アジエンダ(New Urban Agenda)策定のために取りまとめられたィンフォーマル市街地に関する政策提言「プレトリァ宣言」では、パブリック·スペースが有する多機能性をスラムの文脈を踏まえて維持することが提唱されている。法制度に基づく開発コントロールが不在のィンフォーマル市街地では、余剰空間としてのパブリックスペースは開発圧力の下で容易に失われると考えるのが自然である。しかし、実際には人々の暮らしに根付いた多様なパブリックスペースが生成し、狭小な住宅に暮らす人々の「居間」として生活や生業、交流の舞台になっている。パプリックスペースが担う役割や機能を理解することはインフォーマル市街地の居住環境改善を進めていく上で重要な視点である。都市に浮かぶ島のように空間的に分離されたインフォーマル市街地にストリートを開き、都市の骨格道路につなげ、計画·管理体系に統合することで都市全体としての再生を可能にするというUN-Habitatの主張3)は、都市再生の原動力としてのパブリックスペースの可能性に着目した議論のひとつである。