大災害からの復興における「地域文脈」の解読神戸市兵庫区松本地区における阪神•淡路大震災からの復興土地区画整理事業を対象として

摘要

東日本大震災から8年が経過する中、成果の見え始めた復興の取り組みについて、そのプロセスを記録し、復興の推進や課題解決に寄与した要因を明らかにする研究が蓄積されつつある。また、阪神•淡路大震災については、復興都市計画や住民参加の効果の検証に加え、復興プロセスや復興前後の生活環境の変化を分析することにより、災害復興のあり方を問うための多くの知見が提示されている。これらを概観すると、復興を捉える視点として、都市計画事業の内容、空間計画の特徴、住民参加のあり方、コミュニティの再構築、専門家や非営利組織の役割、行政の体制などであり、当該の災害復興や将来想定される大災害に対して重要な知見を与えている。本研究は、復興のあり方を捉える視点、評価する視点として、新たに「地域文脈」の概念を提示することを目的とする。