宮城県山元町における震災復興事業によるコンパクトシティの形成状況

摘要

東日本大震災から7年が経過し，被災自治体における復興の計画内容，事業内容，進捗状況が多様に展開されており，大半の被災地で深刻な人口減少に直面する中，整備された新市街地がどのように活用されているかを把握することは，将来の大災害時における復興計画を検討する上で必要不可欠なことであると考える。復興計画における基本的な都市構造目標としては，多くの都市がコンパクトな市街地づくりを掲げているが，復興事業により集約的な市街地を形成する際に，造成した土地が確実に利用され，住民の生活利便性や安心安全の向上に資することが重要になる。宮城県山元町では，震災以前は，ほぼ全町的に住宅が分散立地するスプロール市街地が形成されていたが，被災直後からコンパクトシティの形成を目標として掲げ，段階的に各種土地利用規制を活用しつつ集約的市街地の形成を図っている。