J•コンドルによって実施された明治20(1887)年から明治21(1888)年における議事堂建築用の石材調査について

摘要

This article examined the stone survey of two times by J. Condor for the building of the Diet building from 1887 to 1888 and accompanying person. The following points became clear. The first survey was conducted mainly in Aiti and Gihu prefectures in September 1887. The second was performed around Yamaguti, Ehime, Hyogo from December, 1887 through about January, 1888. In the two surveys, stone experts K Kato accompanied Condor to the whole process. Therefore, it can be said that the stone survey by Condor was full-fledged with accompanying experts.%J•コンドルによる議事堂~(注1))建築への関わりは藤森照信~(注2))堀内正昭~(注3))、清水英範~(注4))などの研究により解明が進みつつある。これらによると、コンドルによる官庁集中計画策定の直接的な契機は明治17(1884)年4月1日付で井上馨が三条実美太政大臣に提出した建議とされ~(注5))、コンドルは同年6月1日付で太政官に雇用され、明治18(1885)年1月に2案からなる官庁集中計画と計画書を提出した~(注6))。同年3月にコンドルは計画に対する予算案をまとめたが、ここで議事堂の計画は見送った。なお、明治19(1886)年2月17日の臨時建築局開設以前には、太政官会計局に各省長官々舎建築所とする組織があり、ここに滝大吉らが奉職しコンドルの仕事を支えたとする~(注7))。コンドルは臨時建築局創設に先立ち、官庁集中計画とは別に議事堂建築の設計を発表し、その図面や図面解説などが日本建築学会に所蔵される。図面に日付などは記されず、制作時期の上限は、コンドルが"F.R.I.B.AArchitect"の肩書を記すため明治17(1884)年11月以後~(注8))とされ、清水は議事堂分を抜いた見積の出された明治18(1885)年3月以後~(注9))、藤森は明治19(1886)年2月17日の臨時建築局開設以前~(注10))と考察している。