歴史的市街地における低未利用家屋の継続要因と再生方策: 広島県福山市鞆町を事例として

摘要

近年、歴史的市街地では、空き家や空き店舗、あるいは殆ど利用されていない家屋（以下、「低未利用家屋」）と化した建造物が数多く存在することが問題化している。これは、地域の空洞化を招く原因の一つとなっている。一方、近年、歴史的市街地において、低未利用家屋を地域の歴史や文化を伝える資源として位置づけ、店舗や展示館といった施設として再生し、地域の活性化の一助となった事例も出てきている。人口減少社会の下で、定住人口を増加させることは難しく、交流人口の増加による地域の賑わいの回復は地域活性化の有効な手段として重要である。そこで、本研究では、歴史的市街地において、低未利用家屋について保全を前提として再生するための方策として、上記の店舗等の交流人口を増加させる機能（以下、「店舗交流機能」）の挿入に着目する。