中国の防火規制に基づく防災計画で達成される避難安全性能の事例研究: 上海に計画される事務所建篵に関するケーススタディ

摘要

最近の中国における超高層建築，大規模複合建築の建設ラッシュを 目のあたりにして，防火安全設計がどうのように組み立てられている のか，ということがわが国の防火関係者の大きな関心事となっている。 防火技術者間の交流などにより断片的な情報は入ってくるが，全貌が つかめない状況にある。本報告は，避難安全に関して，中国の法体系 の一端を明らかにするとともに，実際の建物を例にして，わが国の避 難安全検証法を適用して安全性能の水準を具体的に比較検討している 点で興味深い。中国においても大規模建築物やオリンピック施設のよ うな特殊な建築物は性能設計されているということであり，今後，そ の設計条件，評価手法，評価基準などを調査検討し，防火安全設計の 基本的な考え方を明らかにしていくことで，さらに研究が深まるもの と期待できる。今後，中国との学術的な交流を更に進め，両国の防火 設計法の水準が向上することを期待したい。%Evacuation safety requirements in China for high rise buildings are reviewed. Evacuation safety of an office building project permitted for construction in Shanghai is then assessed with Japanese performance based fire safety assessment method. The analysis has resulted in general equivalency of the targeted safety level, yet design details show significant conflicts due to the lack of expertise in fire safety technology of the local building authority.