石炭灰を混入した炭酸カルシウム成形体の開発

摘要

石炭灰をはじめとする副産物の有効利用量を拡大するためには，その利用用途における選択肢が広いことが重要であり，幅広い多様な研究の進展が期待される。本研究は，筆者らが提案してきた「若干の水を添加した消石灰の粉体を高加圧成形し，高濃度の炭酸ガスと反応させて強度を発現させる炭酸カルシウム成形体」において，その骨材として石炭灰を大量に混合し副産物の有効利用を図るものである。筆者らは実験により最適な石炭灰の混合率を検討し，成形時の消石灰と石炭灰の比率は4：6程度がよいことを示した。また寒水砂を骨材として用いた場合と比較して，石炭灰の場合にはポソラン反応による強度の上昇と硬化体組織の緻密化が期待できることを明らかにしている。さらにこれらの性状には石炭灰中のSiO2やCaOの含有率が大きな影響を及ぼすことを示唆しており，貴重な成果が示されている。今後は本硬化体の用途開発ならびに実用化が望まれるところである。%In order to clarify fundamental properties of the casting calcium carbonate with 60% fly ash content, the reaction property and the compressive strength are investigated. The result are as follows; 1) The reaction property of the casting varies with different types of fly ash. 2) In the case of using fly ash, which has more amount of CaO, the casting has less the rate of water absorption. 3) Initial compressive strength of the casting is less than 10N/mm~2. But the casting acquires the compressive strength more than 40 N/mm~2 as the carbonation proceeds.