屋外からの火災性状の観察に基づく木造建物倒壊の予見可能性

摘要

木造家屋の火災も，かつては誰でも身近に目撃する機会があったも のだが，工法，材料や設計の多様化を背景に，火災現場で消防隊が直 面する状況も予測が難しくなったといわれている。火災でどんなこと が起こるか，消防士も経験で身につけるのではなく，知識として学ぶ 時代になったということだが，過去の実大実験から消防活動に支障と なる現象を把握できるようにしようとする本報告は，この状況を的確 に捉えた試みと評せよう。しかし，火災実験と現実の火災の間には大 きな違いもある。例えば，木造火災で，建物崩壊の重要な背景とされ る放水による重量の増加等は，実験では起こらない。従って．この成 果から更に一歩を進めるl；は，火災事例の検討も必要であろう。それ には火災調査報告書等，非公開資料が必要なので，消防機関自らの手 によらなければならないだろうが，著者には，そこでどんな取組が有 効か，見通しをつけるための努力も期待したい。%The likelihood of structural collapse of fire involved wooden buildings was analyzed by using the results of 22 existing full-scale fire experiments. This analysis is intended to provide firefighters with warning information of structural collapse during their activities. The occurrence of structural collapse was related to the macroscopic behavior of fire observed from outdoors. Onset of window flame and entire burning of the building were found as the two important signs which take place in advance of structural collapse.