大樹の機能を模倣したエコスクールの計画: バイオミミクリ一概念の建築計画への適用

摘要

This paper introduces an overview of Ohori high school building built on Mar. 2010. This building was designed as an environmental conscious school that mimics the functions of a big tree. Leaf transpiration for roof top water spray, absorbing heat from roots for the Ground Source Heat Pump system, and rain water retaining for rain water storage,etc. This paper shows the planning concept and design features of the environmental conscious building introducing the concept of biomimicry.%一般的に生物模倣と訳されるバイオミミクリー。その定義にはまだまだ多くの解釈がありそうだが，地球環境負荷削減に有効と期待ざれることもある。ここではその概念をもとに，大樹の持つ環境調整機能に倣って設計・建設された学校施設（高校）のデザインコンセプトと竣工後の環境負荷削減効果が報告されている。地球環境負荷削減を意図するデザイン，技術は多種多様であるが，冒頭に述べられているように，その導入数を誇るだけの建築も少なくない。そのような建築を批判的に見ながら，パッシブ，アクティブな技術の一体的統合を意図し，その総合的効果を検証するというシナリオは高く評価したい。効果は，達成された省エネルギー・節水量に加え，使用者の感覚評価によっても示されているが，今後の研究の射程が使用者の意識変化やそのライフスタイルへの反映の検証にもあると述べられ，期待される。蛇足だが，生物模倣の技術とはいえ，部分的に極大化すれば自然界のバランスを乱すことも明らかだ。自然の循環の厳密な意味が問われる。