高強度鋼および免震を用いた大規模ドームのケーススタディ

摘要

This paper reports the result of case studies for a large scale dome structure with a diameter of approximately 300m. Schematic designs of a total of four domes are conducted to quantitatively evaluate the advantages of using high-strength steel and/or seismic isolation. It is shown that the unit structural weight of the dome with high-strength steel and base isolation can be as small as half of the one without the two.%架構の合理性や経済性を論じることは，殊の外難しい。客観性や一般性を持たせるために数々のパラメトリック•スタディをこなすほど，逆に結果の信頼性に疑問が生じることがよくある。本論はこの難テーマに，検討対象の規模（スパン290m）と形状（ライズ•スパン比0.162）と構法（鉄骨ドーム）を絞り込むことで対応している。高強度の超鉄鋼の使用と免震の有無をパラメータとした試設計を通じ，鋼材量と建設コストについて定量的に示した意欲的な報告である。高強度鋼の材工単価に割増係数を用いることで将来の低価格化時の予想を行っていること，著者等のドームの施工実績に基づいた鋼材料単価を使用していること，に信頼性の向上を目指す独創性を感じる。このテーマに真正面から取り組み，定量的評価を含む貴重な設計資料を提示したことを評価したい。評論者の勝手な望みであるが，今後スパンの変化ゃ設計荷重のばらつき等を含めた検討も期待したい。