商業店舗における消費電力の削減と照明環境評価の向上を両立させる手法: 実店舗改修における適用事例の報告

摘要

商業店舗の照明改修にあたり，消費電力削減と照明環境評価向上を目標として，改修前と改修後に，輝度や照度など物理的測定と，被験者による心理評価実験を行った報告である。比較的小規模な施設の照明改修では，設計者の経験と顧客の主観に頼りがちと思われるが，物理量測定と心理評価という客観的な判断材料を採用した点に意義がある。心理評価については，改修後に評価が概ね向上しているのが明示されている。しかし，物理量測定については，改修前後の輝度画像とエリア毎の昼と夜の平均照度が示されている程度で，大きなガラス面が北と西にあり，昼光の天気や時刻による変動の影響を受けやすい空間の光環境が正しく把握されているのか，明らかではない。測定方法や結果と考察についてより丁寧な記述があれば，有用な資料となるだろう。今後の継続的な報告に期待したい。%This study proposes a lighting method that reduces energy usage and improves evaluation of lighting environment. Method focused on planning the zone, changing lighting equipment and considering the surface of space. This method was applied to a renovation of a commercial building with multiple tasks. Comparing before and after the renovation, it proved successful in reducing energy usage, decreasing luminous flux, improving evaluation of the lighting environment, and physical quantities of the environment.