災害時における受水槽を水源とした地域への水供給の可能性に関する研究

摘要

We provided drinking water of local residents from the water receiving tank which is installed in our university at the time of the Grate East Japan Earthquake. From this experience, in this paper, we have investigated the possibility that the water receiving tank of the apartment buildings can be used as a water sources. As a result, we have found that the water receiving tank can be utilized effectively as a water source in a disaster.%本研究は東日本大震災時における災害用水供給装置の稼働について経過を報告するとともに，仙台巿青葉区国見1丁目から6丁目を対象として，共同住宅や事業所の受水槽から災害時にどの程度の水を地域住民へ提供できるか試算したものである。インフラ災害を受けた地域での水確保について知見を得るために行われた研究であり，地域によって異なるものの，試算では1日の使用水量が3L/人の場合，全ての地域で3日間の水提供が概ね可能であるとの結論が得られている。ただし災害の規模や地域特性によっては，共同住宅や事業所の受水槽のみでは地域住民への水提供が困難となる場合も考えられる。東日本大震災時の災害用水供給装置に関する分析が上記の試算に十分に生かされていない印象を残念ながら持ったが，今後可能ならば，東日本大震災の実態を踏まえた様々なシナリオを整理したうえで，給水や水道の復旧優先順位に関する最適戦略構築への展開を期待したい。