西洋絵画の内部空間に描かれた建築要素 西洋絵画における建築要素と二次元的構図の印象評価の研究( その6）

摘要

①各絵画の平均値を類似度としたクラスター分 析によって30 点の絵画は5 グループに分類することができ た。②指摘法実験によって指摘された要素は「建築」「家具」 「人」「建築付随」「床付随」「家具付随」「その他」の7 つに まとめることができた。各要素の指摘数を類似度としたクラ スター分析によって『人物注目型』『家具注目型』『建築注目 型』『要素分散型』の４つに類型できた。③各絵画の印象度 の度合とその位置や重なりを分析するため、注目域の類型化 を行った。その結果、5 タイプの注目域に分けられ、研究対 象の多くは広域に印象が分布する『分散型』と印象度の高い 要素が中央に集中して分布する『中央分布型』に分類され、 意識評価構造の特徴を明らかにした。④ 8 つの代表評価尺度 と要素の指摘数の相関分析を行った結果、「建築」要素によっ て奥行き感や空間の広がりを創出し「人物」要素を配するこ とによってダイナミックな空間が演出される事が分かった。 ⑤垂直要素の壁を描く際には描かれる面積の大きさは関係な く「壁に付随する」要素が描かれていることが重要である。 以上の成果により、建築に囲まれた二次元空間においての心 理的?意識的な側面からその構造を明らかにでき、建築内部 空間の二次元空間の有効的な使い方について理解することが できた。