回転慣性質量を利用したTMD の開発と連絡通路への適用

摘要

A TMD system using a rotating inertial mass damper is proposed to reduce vertical vibration of structural beams and floor slabs subject to walking excitation. The developed TMD is comprised of a ball screw mechanism including flywheels and springs. This system has proved to have significant mass effects because of the ball screw mechanism, even with a small mass of the flywheel. The TMD system was applied to the connecting bridge. The authors carried out the vibration measurement of the connecting bridge and ascertained the efficacy of the newly developed TMD system.%片持ち梁形式の連絡通路における人の歩行振動を減少させることを 目的に，慣性質量ダンパーを適用した報告である。床や梁等の上下振動に従来型のTMDを用いた報告事例は多く存在する一方，慣性質量 ダンパーを用いた事例は限定的であり，報告内容は貴重である。ダン パー装置の数値解析から，施工および実測による制振効果の検証に至 るまで順を追って説明している点で，構造設計者に有益な情報を提供 している。本報告でTMDと称す慣性質量ダンパーは，制振対象との 接続の他に支点を要する点において，制振対象と一点のみを接続すれ ばよい従来型のTMDと異なる。それゆえ，接合部周辺には特段の配 慮が望まれる。地震時には，制振対象としている新設の連絡通路，既 存建物，それら二点間を接続するダンパーの三者間に，三次元的に複 雑な相対運動が生じると予測される。それに対する設計的配慮は言及 されているものの，今後さらなる分析を期待したい。