JR貨物のコンテナ輸送を支える着発線荷役方式(E&S方式)開発の経緯と発展状況

摘要

コンテナの着発線荷役方式(E&S方式、Ef-fective & Speedy Container Handling Sys-tem)は、電車に人が乗り降りするように、架線のある着発線上において、フォークリフトにより直接貨車にコンテナを積み卸しする方式である(図-1〜4)。 本方式は、国鉄時代に鉄道技術研究所により初めて総合技術としてのその構想が発表され研究が行われた。本方式の営業線での実施のための塩浜操車場における模擬架線下の試験および新南陽貨物駅における営業線での実地試験以降、岐阜貨物ターミナルにおいて本方式による第一号の駅が開業した。JR貨物発足後はコンテナ輸送の中核として着実に導入された。今や全国の29駅で実施されるまでに拡大し、将来は40駅程度までに増えるとされている。鉄道の輸送トンキロ当たりCO_2排出量は営業用トラックと較ベて1/8程度と少なく、長距離を運転するドライバーの不足、トラック輸送に対する規制強化等を背景に、トラック等自動車による輸送を鉄道貨物輸送へ転移させようとする動きが高まってきており、国土交通省のモーダルシフト施策にも本方式が採択されている。JR発足30年を迎えるこの時期に、本方式の開発の経緯とその本質を紹介するとともに、長期間に亘るその時々の段階毎の役割分担と時宜を得た継続的な推進の経緯、さらに今日の発展状況に触れておきたい。