「神戸モデル」の社会実装: 3次元都市丸ごとのシミュレーション技術による防災•減災パラダイムシフト

摘要

技術革新がこれまでの既成概念を塗り替えてしまう事例は過去にも多くあったであろう。それによつて、これまでの「当たり前」が、異なった別の「当たり前」となってしまう。本稿は、災害から人の命を守り、人々の生活を守る防災•減災を、受動的な防御であり、公によるコストであるといった捉え方から、民による能動的な投資先であって、開かれた新たな市場とできる技術革新の可能性を考えてみたい。その背景にはJCT技術の進展に伴い、高度情報化社会の到来がある。ビッグデータやAI(人工知能）などを活用し、個々のニーズにあわせた形で、多様な社会的課題を解決する新たな社会形成「Society 5.0(ソサエテイ5.0)」の実現が謳われている。ここでは、国交省が推進しているi-construction施策とその延長線上にある膨大なィンフラデータベースを活用した技術革新による、防災•減災への統合的なアプローチとそれに伴って明らかとなる市場の創成を論じる。