高齢者高血圧の治療目標と降圧薬の選択はどうあるべきか？

摘要

l．高齢者高血圧の治療目標 現　状 高齢者高血圧の治療目標は収縮期血圧140mmHg未満とする． 対　案 高齢者高血圧の治療目標は収縮期血圧150mmHg未満でも構わない． 議 論 1. 高齢者においても収縮期血圧を150mmHg未満に下げることの有用性は示されている・ 2. 現時点では．高齢者で収縮期血圧を140mmHg未満まで下げることの有用性を示した臨床研究はない． 展　望 1. 高血圧治療ガイドライン2009に従い，治療目標は収縮期血圧140mmHg未満とするが，臓器障害に注意し，QOLに配慮しながら慎重に降圧する． 2. 高齢者の至適降圧目標値を明らかにするため，今後さらなる研究の結果が待たれる． II．高齢者高血圧の降圧薬の選択 現　状 1.合併症がない場合の第一選択薬はCa桔抗薬，AR,ACE阻害薬，あるいは少量サイアザイド系利尿薬が適当である． 2. 合イ井症を伴う場合は，個々の症例にもっとも適した降圧薬を選択する． 対案① 合併症がない場合の第一選択薬としては，脳卒中予防の観点からCa桔抗薬が望ましい． 対案② 合併症がない場合の第一選択薬としては，エビデンスが皇宮で安価な利尿薬が望ましい． 議 論 降圧薬の種類より降圧の効果のほうが重要である． 展　望 合イ井症を伴わない場合は，それぞれの特性を配慮したうえで降圧薬を選択するが，十分な降圧効果を得ることがもっとも大切である．