rivaroxabanにて心室内血栓の消失がみられた症例

摘要

症例83歳，女性.認知症にて全介助の状態 であった.介護者が右上肢麻痺に気づき当院受診. 頭部CTにて，左中大脳動脈領域に広範な新鮮梗 塞を認め入院となった.神経学的に軽度の意識障 害と右片麻痺を認めた.心電図にて心房細動を認 め，心原性脳塞栓症と診断した.経胸壁心エコー 検査（短軸像）にて左室心尖部に約12 mmの血栓 が認められた（図la).血栓溶解と脳梗塞再発予防 を目的としてrivaroxaban10 mg/日を投与した. 投与後10日Hの心エコーでは，血栓は約9 mmに 減少し，29日Hの心エコーでは血栓は消失してい た（図lb), warfarinにおける左房血栓消失率は 1力月で16%, 3力月で42%,12力月で56%と報 告されている〗).非ビタミンK依存性経口抗凝固 薬rivaroxabanを用いた最近の研究では，投与6 週間後左房血栓消失率は41.5 %と報告されてい る：本症例から，rivaroxabanは心房細動を有し 心室内血栓を伴う患者の治療に有用な薬剤になり うることが示唆された.