分子認識ゲルを用いた固相抽出と吸光光度法による極微量鉛の定量

摘要

鉛は，ポルフィリン化合物である5,10,15,20-テトラフユニルー21H,23H-ポルフィンテトラスルホン酸（TPPS）とマンガン（Ⅱ）の反応における触媒効果を利用することにより高感度で定量できた。TPPSと反応して妨害する亜鉛（Ⅱ），銅（Ⅱ），マンガン（Ⅱ），コバルト（Ⅱ），ニッケル（Ⅱ）及び鉄（Ⅲ）は，分子認識ゲル（IBCテクノロジー社製Pb-02）を充填したカラムを用いることで影響なく定量できた。固相に捕集した鉛は，4Mヨウ化カリウムで溶出でき．その回収率は97.5％であった。触媒反応30分における検量線から得られたモル吸光係数は413nmで測定したところ7.50×10~5Lmol~(-1)cm~(-1)であった。鉛（Ⅱ）とTPPSの反応は4Mヨウ化カリウムの添加によって2.8倍促進した。本法は，河川と沼の底質中鉛の定量に応用したところICP-AESで測定した結果と一致した。