状態空間モデルによるレーダ反射因子対降雨強度（Z-R）関係の推定

摘要

レーダ反射因子(Z)と降雨強度(R)の関係を適切に求めることは,レーダ降雨観測の基本的問題である・本論文では,対数スケールニ次元空間におけるZとRの変動を二次元時系列として取り扱う.従来のZ-R関係などの観測研究結果に基づき,それらの変動は,直線的変化を基本とし,それに2種類のランダム変動が重畳されていると考える.一つのランダム変動は短時間のガウス雑音と仮定する.もう一つは直線自体のジャンプ現象である・Z-R関係は,時々ジャンプ現象を示す各直線のパラメータとして表される.ここでは,このようなZ-R関係のジャンプ現象を自動検出し,各直線のパラメータを状態空間モデルにより推定する.はじめに,テストデータにより本手法の動作特性を確認する.次に,実測の雨滴粒径分布データから求めたZとRの時系列に本手法を適用し,妥当なZ-R関係推定が可能であることを示す.