テレビ帯ホワイトスペースの利用を目指したコグニティブ無線端末の開発とチューナブルフィルタへの期待

摘要

コグニティブ無線技術は，周波数の有効活用を実現し得る技術として極めて有望である.最近では，地上テレビジョン放送周波数帯において周波数共用を行うホワイトスペース（テレビ带ホワイトスペース）利用技術の実用化に向けた検討が諸外国で始まつており，IEEE802.11afなどの国際標準化団体において，具体的な技術仕様の策定も進められている,情報通信研究機構（NICT)では標準化活動の推進とともにシステムや無線機などの研究開発に取り組んでいるが,本技術の普及には，特に小形端末の開発が急務となる.しかし，このテレビ帯ホワイトスペースを利用する端末は，UHF帯の広い周波数範囲への対応と，与干渉回避のために厳しいスプリアス抑圧が求められる.これら課題の解決を目指したRFフロントェンドの開発では，従来技術の応用では小形化に限界があり，MEMS技術などの新しい技術によるチューナブルフィルタの実現が期待される.本論文では，コグニティブ無線技術とテレビ带ホワイトスペース活用に関して述べ，これまでに開発したRFフロントエンドの実例を紹介する.最後に，上記課題を考察し，小形化への貢献が期待できるチューナブルフィルタ開発の重要性に関して述べる.