マルチエージェント型電力市場モデルに基づく需要家側電力貯蔵装置の経済性評価

摘要

2005年4月から日本卸電力取引所（Japan Electric Power Exchange：JEPX）が創設されて，一般電気事業者とPPSが相対取引とオークション形態の両方で取引を行っている。電力市場では，発電事業者と小売り供給者は価格と電力量を入札し，入札参加者の入札結果から供給曲線と需要曲線の二つの曲線が出来上がる。市場の清算方式としては，供給曲線と需要曲線の交点が市場清算価格（Market Clearing Price：MCP）と取引量になる同一価格オークションが有名である。一般的に需給が逼迫している時間帯においては市場清算価格は高く，オフピークの時間帯においては低くなる。これは発電会社がピーク負荷を供給するための発電機を所有しピーク負荷に合わせて起動させる必要があり，そのコスト回収のため入札価格が高くなるからである。