窒化ポテンシャル制御したガス窒化処理による低合金鋼の化合物層相構造制御

摘要

窒化ポテンシャル制御(以下K_N制御と呼ぶ)したガス窒化処理が，ここ数年国内で注目を集めている。ガス窒化処理の目的は，表面に形成される化合物層と呼ばれる鉄窒化物層，ならびに窒素が固溶し合金窒化物が析出した拡散層と呼ばれる2つの硬化層を利用して，部材の耐摩耗性，耐疲労特性および耐食性を向上させることである。また，鋼の共析変態点以下の温度で処理されるためマルテンサイト変態を伴わず，他の表面硬化処理と比べ低ひずみという特徴を有する。このため，高寸法精度が要求される自動車部品をはじめとしたさまざまな機械部品に適用されてきた。近年，K_N制御設備が国内でも普及し始めたこともあり，従来の設備に制約されたできなりの窒化ではなく，K_N制御によって，どの程度鋼の高機能化が実現できるか検証する試みが活発化している。