健保組合におけるメンタルへルス対策の方向性とは?

摘要

この10年来、職場のメンタルへルスをめぐる問題は、日本の産業界の発展や日本人の健康に対し、大きな影を落とし続けています。厚生労働省では、昨年度より地域の医療計画策定の際の基本となる「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」の4大疾病に加え、精神疾患を加えた5大疾病対策を盛り込むことを都道府県に要請するようになりました。この背景には、精神不調者の増加·高止まり傾向があります。当研究所が隔年で行う職場のメンタルへルスの実態調査においても、産業界における精神不調者の増減は、さまざまな取り組みのなかで増加傾向にこそ歯止めがかかったものの、依然高止まりの傾向にあるとされています(図表1。最新版は今秋発表予定)。