第53回 川湊から外海港へ、清水港: お茶の輸出と港の移動

摘要

「しみいず～みいなとのめいぶつうはあ～…」と歌われた清水港は、江戸時代には巴川の河口部分に築かれた川湊でした。この巴川は現在の静岡市内にある駿府城に通じる川で、駿府の町と清水湊をつなぐ水運としても使われていました。当時は清水の本町(ほんちょう)と呼ばれる巴川右岸を中心に廻船問屋の大店が軒を連ねていました。土地の言い伝えによれば、元和元年(1615)の大坂夏の陣の折に徳川家康の命令により、家康側の御用を務めた清水の廻船問屋たちは、安倍川から富士川までの一切の問屋業務を任されることになったと伝えられます。この時に問屋業を認められたのが42軒だったといい、以来、清水港では問屋株の売買により変更はあっても、問屋数が42軒より多くなることはありませんでした。