海底トンネルの注入工の長期耐久性

摘要

注入工法は，従来からトンネル補助工法として，山岳部•都市部を問わずトンネル工事に広範に使用されている。特に山岳トンネルにおける注入工法は，高圧湧水や断層破砕帯などへの対策として用いられることが多く，相応のホモゲル強度を要求されるため，表-1の注入施工例に示すように従来からセメント系薬液注人材が数多く採用されてきた。代表的なセメント系薬液注入材であるセメント水ガラス注入材を例にあげれば，圧縮強度が比較的高いものの水分が70%以上であり，一般に仮設材料として位置づけられてきたことから，耐久性に開する評価はほとんど実施されてこなかった。しかし，近年，建設時のみならず構造物のライフサイクルコストの視点が重要視されるなか，薬液注入材の長期材料特性について明確にすることは，トンネル構造物に関する今後の設計のあり方に大きく寄与するものと考えられる。