第23回 盛土の地震時残留すベり計算

摘要

地震時に非排水状態にある飽和土のすべり変位をNewmark法によって計算する場合，潜在すベり面で発揮されるせん断強度τ_fを推定する必要がある。その場合，以下の点に留意する必要がある。①飽和土の非排水強度は排水強度とは異なるものであり，また締固め度の影響が非常に大きい。②非排水せん断強度は地震時に一定ではなく，非排水繰返し載荷によってひずみが増加すると低下していく。例えば，図-4.18におけるパルスnに到達したとする。このときのすベり面に沿ったせん断強度τ_fが初期値を保っていれば作用せん断応力τ_wがτ_fを超えない場合でも，この時点までの非排水繰返し載荷によってτ_fが初期値よりも低下すると，τ_wがτ_fを超えようとする可能性が出てくる。しかし，τ_w＞τ_fよいう状態はありえず，τ_w=τ_fの状態でs→eのようにせん断ひずみが生じ，それに対応してすべり土塊に慣性力が発揮される。作用荷重のτ_fで抵抗し切れない分は，この慣性力が抵抗する。また，同一の地震荷重によるτ_fの低下率は締固め度が低いほど急速に大きくなる。