軟弱地盤上の埋立·盛土における地盤モデル設定方法の現状と課題

摘要

本稿では，沿岸に自然堆積した軟弱粘土地盤上に護岸を築造し，護岸内部を埋め立てて土地を造成する工事を想定し，工法選定や基本設計を行うための概略調査と詳細設計を行うための精密調査における調査·試験内容について詳述した。本文中で記載した検討の流れをまとめたものが図-6である。調査地点の選定やサンプリング間隔や試験内容の設定，そして試験結果の解釈と物性値の深度方向分布のモデル化について，フローチヤート形式で示した。土質試験結果は単独で使うものばかりではない。その多くは他の物性値と密接にリンクしており，地盤物性値の設定に当たっては，これら相互のリンクを考えたうえで整合した値を設定しなければならない。物理特性，力学特性，圧密特性に関する地盤物性値について考えるベき相互のリンクを図-7にまとめた。プロジェクトにおける地盤調査結果に基づいて地盤モデルを設定するに当たっては，図-6に示したフローチヤートの流れの中で，図-7に相互リンクを示した物性値間の整合性を考慮して物性値の深度分布を設定する。そして，施工中に計測値(モニタリング値)やチェックボーリングによって得られる物性値の変化(特に圧密の進行に伴う強度増加)に基づき，修正の必要があれば施工計画や，場合によっては詳細設計にフィードバックさせることになる。