破壊靭性試験規格の変遷と最近の動向

摘要

破壊力学は，「き裂の力学」とも呼ばれるように.き裂材における力学的駆動力を表す手法であり，弾性論に基づく線形破壊力学では応力拡大係数/fが，塑性変形が介在する弾塑性破壊力学ではゾ積分やき裂先端開口変位CTOD(Crack Tip Opening Displacement)が力学パラメータとして用いられる.現在では.ASTM,BSあるいはISOなどにおいて.それぞれの破壊力学パラメ一夕を用いた破壊靭性試験法が規格化されている.いずれの試験法においても.単調増加荷重下でのき裂材の破壊開始点を破壊靭性として評価するという目的は同じであるため.試験片形状や疲労予き裂導入方法などに共通点も多い.ただし，それぞれのパラメータが提案された歴'お的背錄，特に破壊力学に基づく靱性評価が必要とされた対象構造の用途や材料.その破壊事象が異なっていたため，現在もなお.それぞれの試験法ごとに評価値に対する考え方が異なっている.