意図的食品汚染と食品衛生について

摘要

食料の生産，流通，加工，消費という一連の過程は，フードチェーンと総称される.現在では，食料の調達を分業で行うことが多くなり，生物としての人間や他の生物との関係，食べ物との関係を理解する機会を失っている人も多くなっている.食料の生産から消費までの理解と，全過程における衛生的な食品の取り扱いが求められている.分業化されたフードチェーンの信頼感は相互理解のうえに成り立つ.表1のように食品に毒物を混入させることも，表示を偽装し利益を得る行為も犯罪である.利益の確保や不満の解消は免罪符にならない.食料自給率が39％(カロリーベース)に過ぎず，多くの食料を輸入に頼っているわが国の食料が，いつまでも豊富であり続ける保証はない."空腹は最高の調味料"であり，安全性に疑問があっても，空腹には勝てずに食べてしまうこともあることを忘れてはならない.