下水道事業のリスクマネジメントを高める武器としてのAfter Action Review(AAR)

摘要

気象の極端化が激しさを増し、最近毎年のように甚大な水災害が発生し、下水道施設にも大きな影響が出ている。しかも、2035年前後には南海トラフ地震による広域地震津波災害の発生が確実視されている。それと時間的に近接して首都直下地震の発生も危惧される。この2つの災害によって最悪300兆円に及び甚大な被害が発生すると国は予測している。残された時間で予想される被害を完全に予防することは不可能であり、災害を乗り越えるだけの対応能力(レジリエンス)を向上させる必要がある。そのためには、現場の災害対応能力を継続的に改善することが必要となる。災害対応能力の向上のためにまずやるべきことは、関係者による被災事例や事故事例についてのふりかえりである。そのための有力な方法としてAfter Action Review(略してAAR)を紹介したい。