平成26年度誘導加熱技術部会見学会: 中部電力株式会社 浜岡原子力発電所 見学記

摘要

中部電力殿のご厚意で見学をさせて頂いた。会議室でプラントの概要や安全対策への取り組みなどを説明頂いた後、原子力、発電所内を見学した。中部電力の南海トラフ巨大地震に備えた対策の基本的考えは、①巨大地震に耐える②津波を侵入させない③冷やす機能を確保④重大事故発生に備える⑤総力を結集して守る。津波を侵入させない防波壁は様々な報道等で聞いているものの、その高さ（海抜22m）、長さ（1.6km）、構造等、驚嘆に値する壁である。トンネルで海とつながっている溢水槽に設置された4mの溢水防止壁、さらに原子炉建屋への浸水を防ぐ強化扉（厚さ1m、重さ40t）、水密扉（厚さ80cm、重さ23t）などで2重3重以上の対策が施されている。また原子炉を冷やす機能を失った場合に備え、送電線を3ルートから引き込み、原子炉建屋内に設置している非常用ディーゼル発電機を浸水から守る対策を実施し、これらの電源を失った場合を想定し、海抜40mの高台にガスタービン発電機を設置している。さらに、この発電機以外にも、蓄電池の容量アップ、建屋屋上に設置した災害対策用発電機と移動電源車などを備え、その上に可搬型注水ポンプ車により、海抜30mの地下水槽や屋上貯水タンクなど、あらゆる事態に対する幾重もの対策が講じられている。しかし、それらを扱うのは人であるとの考えのもと、対応能力の維持·向上を図る訓練など、総力を結集している。