SPDの種類と特長: 雷対策の方法と事例

摘要

近年，地球温暖化の影響にともないゲリラ豪雨と呼ばれる気象災害が増加しており，日本で発生する雷は平均して年に100万回にのぼるといわれている.図1に日本国内で発生した1時間降水量50ミリ以上の年間発生回数を示す.雷の電流は非常に大きいため，建築物や電線などに直接落雷した場合には非常に大きな被害を与える.また，直接の落雷でなくとも雷の放電路を流れる電流により，配電線や通信線近傍の電磁界が急変し，電源線や通信線へ誘導によつて雷電流が発生する.これらの直接または間接的に加わる短時間の異常な過電圧や過電流は雷サージとよばれ，雷サージが電源線や通信線を通って電気機器に侵入することで被害が生じる.その雷サージの影響範囲は落雷地点から数km先にまで及び，すぐ近くの落雷でなくても被害を受ける可能性がある.雷被害の多くは雷サージによるものであり，侵入経路が特定困難なことも雷被害拡大の要因となっている.