立石清重が手がけた教育施設の小屋組とその変遷

摘要

本稿では現存遺構と史料を用い、立石清重が手がけた教育施設における小屋組を分析し、変化の過程を把握した。立石は明治初期の作品である開智学校の小屋組において、度重なる試行錯誤のもとに洋小屋を計画し、その接合部に伝統構法を用いることで実現させた。また、その後の作品においては接合部の構法の段階的な洗練により、洋小屋を完成させた。以上の事柄は、地方の大工が洋小屋の構法を一度期に摂取したのではなく、段階的な獲得を経て洋小屋を完成させた、建築技術の近代化の一具体を示している。