光明皇后の思想における建築的反映について:法華寺と国分尼寺の比較を通して

摘要

奈良時代においては天平文化などを代表とした様々な仏教事業が盛hに行われた。その興隆に尽力した一人に光明皇后がおり、活動の中でも特に力を入れた事業の一環として国分尼寺の造営とその総本山である法華寺の造営が挙げられる。法華寺は光明皇后の旧邸宅を解体して造営されたことから、造営に対する思い入れは強かったと考えられる。国分尼寺については、造営には光明皇后の助言が影響していたとして、光明皇后の思想の反映が見て取れる。本研究では、光明皇后の思想研究をもとに、光明皇后がどのような目的で法華寺や国分尼寺を建立し、その思想がどのような点において建築的に反映されているのかを明らかにすることを目的とする。