トランスジェンダーのオフィストイレにおける利用実態オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究 その3

摘要

調査の結果、以下のことが分かった。1) オフィスで利用したいトイレはトランスの中でも様々で、「トランスジェンダー」と一括りにすることはできない。2) 設備面での最優先課題であった「トイレの選択肢」として、出生時戸籍性別や自認する性別に沿って利用する「男女別のトイレ」と、多機能や男女共用などの「性別不問のトイレ」を選べる環境をつくることが重要である。3) 誰もが使いやすいオフィストイレの実現には、トランス含めて皆が働きやすい職場環境を整えることも重要である。4) 職場でカミングアウトすることでトイレ利用の希望と実態の一致度が上がる傾向が見られたが、カミングアウトは本人の意思に基づいて行うものであり、強制するものではない。当人がカミングアウトした場合は、当人と協議のうえ周囲の理解を得ることも重要である。次報では、「トイレの選択肢」としてあがった「性別不問のトイレ」である多機能トイレの利用実態、今後のあり方について報告する。なお、本報告は「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究会」（金沢大学、コマニー(株)、(株)LIXIL）で行った調査を取りまとめたものである。