JFEスチールのTMCP 技術の進歩とそれによる高性能厚板

摘要

TMCP（Thermo-mechanical control process：加工熱処理，熱加工制御）は，制御圧延技術と制御冷却技術を組み合わせ，優れた機械的性質を引き出す鋼材の製造技術体系である。JFEスチールは1980年に厚板のオンライン加速冷却装置（OLAC?：On-Line Accelerated Cooling）を西日本製鉄所（福山地区）にて世界で初めて実用化して以来，TMCPの高度化に向けた取組みを続けている。1998年には均一冷却，高冷却速度による加速冷却が可能なSuper-OLAC?を開発，稼働させ，2011年にはSuper-OLAC?を発展させたSuper-OLAC?-Aを導入し，高度な要求特性に対応している。また，TMCPのオンライン化を追求し，2004年には，オンラインの誘導加熱装置（HOP?：Heat-treatment On-line Process）を世界で初めて実用化した。さらに，2009年には制御圧延の高能率化とSuper-OLAC?との組合せによる新しい材質制御が可能となるSuper-CRを京浜地区で実用化している。本稿では，これら技術を活用した最近のTMCPの展開と高性能厚板の開発について概説する。