微小インク滴の溶媒の揮発挙動に関する研究

摘要

インクジェットプリンターを用いた画像形成技術にお いて、微小インク滴の溶媒の揮発挙動を知ることは重 要である。本報では、屋外の看板やポスターに使用され る塩ビフィルム上での水系インクの溶媒の揮発挙動を 把握するため、有機溶剤と水のみからなるモデルインク を調整し、微小インク滴の揮発挙動を検討した。塩ビフ ィルムへの浸透性を有する有機溶剤を用いた場合は、 水が蒸発した後、有機溶剤の浸透が開始されるため、 水の揮発性に影響を与えにくいことが確認できた。一 方、塩ビフィルムへの浸透性を有さず、水よりも蒸発速 度が速い有機溶剤を用いた場合は、塩ビフィルムに対 する水の接触角を下げる効果があっても有機溶剤が水 より先に揮発し、その効果が持続しないため、水の揮発 性は向上しにくいことが確認できた。また、塩ビフィルム への浸透性を有さず、水よりも蒸発速度が遅い有機溶 剤を用いた場合は、塩ビフィルムに対する水の接触角を 下げる効果が大きいほど液滴の表面積が増加するた め、水の揮発性は向上することを確認した。