Dr.クマの'健康のヒント”

摘要

この夏はリオオリンピックでの日本選手の活躍に 暑さを忘れるようであった。その中に、バセドウ病 と戦い、摘出手術の後にメダルを勝ち取った選手が いた。素晴らしい、患者さんの励みになると感じた。 バセドウ病は若い女性に多く、比較的よく見る病気 である。原因は自己免疫の異常と考えられており、 甲状腺から過剰なホルモンが分泌される病気である。 症状は身体全般の活動性が極端に上がるためのもの と考えれば間違いはない。動悸、発汗、手足の震え、 体重の減少、眼球の突出など、自覚症状はかなり強 く、診断と治療が遅れれば甲状腺中毒症や不整脈、 心不全などの生命の危険がある状態になることもある。幸い、病気の中で診断は容易な部類であり、治 療にも幾つかの選択肢がある。欧米ではアイソトー プを使った治療が主流であるが、日本では甲状腺を 抑える薬と甲状腺を取り除く手術が多い。クスリで うまくコントロールできなかったり、副作用が強い 場合に手術を行う。摘出後にはホルモンを補充する 必要があるが、1日1回、口から飲めばよく、簡単 な血液検査を目安にコントロールすることができる ので、きちんと治療していれば日常生活だけでなく、 スポーツにも支障はない。いつもと同じ結論である が、早期発見、早期治療が何につけ基本である。