失敗は経験となり人を育てる

摘要

昨年まで在籍していた福井市役所の後輩から「後輩技術者に向けたメッセージ」というテーマの執筆依頼が来た。簡単に受けてしまったものの、過去に掲載されたものを見ると経験豊富でかつ組織でもトップ級の先輩方がなるほどと共感することを言っている。いろいろ迷った挙句、現役時代に考えていた「技術の継承」について取りまとめることにした。 振り返ると38年間の役所生活では、道路、橋梁、トンネル、河川、下水道、そして駅前再開発とほぼ一通りの土木工事に携わらせてもらった。幸いにも工事現場では大きな事故に遭遇することはなかったが、それでも多くの失敗やヒヤリハットを経験してきた。その中でも特に忘れがたいのは、平成16年の福井豪雨による未曾有の災害から得た体験である。