誰よりも速く駆け抜けて: 小林彰太郎さん追悼

摘要

小林彰太郎さんは1929年(昭和4年)に東京で生まれたが、物心ついた時にはすでに飛行機や自動車に心を奪われていたという。3歳の頃には街道を自動車がやってきて通り過ぎて行くのを1時間でもじつと待っているような子供だった。三つ子の魂、百までという諺があるけれど、小林さんの自動車を愛する気持ちは生涯変わらなかった。晩年に出版された『小林彰太郎の日本自動車社会史』と『昭和の日本自動車見聞録』は対になる書物であり、小林さんの最後の仕事である。幼少期からの車の見聞録の畢生の集大成である。それは、なにより熱烈な憧れから始まったのだ。そして誰よりも情熱的な。