橋の名景を撮る（伝えたい日本の橋）:第8回 鉄の橋（その1）

摘要

保田與重郎著『日本の橋』に「近代の鉄の橋は18世紀の克服者といわれたナポレオンの発明，梁骨を露出し弱々しげに見える線の組み合す構成だけでなる鉄の橋が石橋に劣らず，加重に耐え長期に保つことの発見は，近世の見出した何よりも大きい矛盾の一つである」と書かれている．石橋からは鉄の橋は想像に絶することのようであった．世界で現存する最古の鉄の橋はイギリスのアイアンブリッジ（1779年架橋）で，修理は何度もされているだろうが当時の面影のまま残っている．日本で現存する最古の鉄の橋は旧心斎橋（1873年）で大阪鶴見緑地に移され，緑地西橋の主桁の横に飾りとして残っている．橋の名景に入れるにはむなしさを感じる．