グローバルイノべーツョンと製造業

摘要

この数年，大学という立場から社会経済状況の著しい変化を見てまいりました.いうまでもなく，大学と社会経済は非常に密接な関係にあります.たとえば少子高齢化は労働人口の減少のみならず大学進学者，さらにより専門的な研究に携わる人材の減少につながり，ひいては研究開発力の低下をもたらします.社会経済のグローバル化は新興国の台頭とともにわが国の真の国際競争力を試す試金石となり，この波に乗り遅れれば，経済的な弱体化だけでなく，環境問題などの国際協調の場においても有益な研究開発で世界を先導するどころか取り残されることになるでしょう.これではいけません.魅力ある国，魅力ある大学であるにはどうしたらよいのか.必要なのは「改革の実行」であって，問題点を数えあげ慨嘆している場合ではありません.ヘンリー•フォードの言葉を借りれば，"Don't find fault, find a remedy."(失策を探すな.改善策を見っけろ.)です.