靑木淳建築計画事務所

摘要

台北市街地の北辺に接して、松山空港がある。2km以上ある滑走路をくぐる道路は1本だけ。演江多目的センターは、そのアンダーパスを通って地上に上がり、高架道路をくぐってすぐ右側のところにある。そこを通り過ぎ、まっすぐ行けば、また高架道路があって、続けて基隆河を渡る大直橋。先は、仰徳大道などの髙級住宅街が広がる陽明山の麓。その周辺の住民が市街地から車で帰宅するなら、かなりの確率で、この敷地の脇を通ることになる。にもかかわらず、そこが今まで見向きもされなかったのは、滑走路と高架道路と川に挾まれ、ほんの一瞬、車窓をかすめるだけの土地だからである。実際この地区は、空港に沿って細長く、自動車のショールームと整備工場建ち並ぶばかりのところで、住居もなければ、歩行者もほとんどいない。つまり、ここは、走行する車と離着陸時の飛行機から一瞬見られるということと、空港ラウンジからのみ遠く望まれるという点で、かなり特殊な土地だった。濱江多目的センターに、一目で見てとれ、かつ遠目からでも把握できる図象性が求められたのは、こうした理由による。