進まない耐震補強-行政の対応とジレンマ

摘要

東海地震は、静岡県直下を震源域とするプレート境界の巨大地震である。1976年の東海地震説発表を受け、静岡県では県民を挙げて地震対策に取り組んできた。地震の発生は防げなくても命は守れる。このためには建物の耐震化が地震対策の重要な柱であり、震度7が想定される東海地震への対策として、1978年から静岡県版の建築物構造設計指針や耐震診断基準を作成し、建物の耐震化対策に取りかかった。2001年5月に作成した静岡県の被害想定では、想定される死者5,851人のうち、79％が建物の倒壊による圧死と推定している。