放浪者の地図: 臨界の行方

摘要

近代は、場所からの解放の過程であった。そして、その延長線上に、時空間が一気に圧縮されたこの時代がある。Z・バウマンは、現代を生きる人々を「旅行者」にたとえている。私たちは、日々あちこちを移動し、時には旅行をする。部屋にじっとしていたとしても、テレビやインターネットを通じ、さまざまな場所を頻繁に飛び回っている。もちろん、身体からの解放がない以上、私たちはどこかに場所を占めなければならないし空間の拘束から自由になれない。だが、今や、私たちは、地理的拘束をひとまず忘却して生きることも可能であるのだ。