配置図を描くことから公共を考える

摘要

上野恩賜公園を中心とした2キロほどの範囲は、オープンスペースと多くの公共施設が集まる歴史的なパブリックゾーンである。台地の突端を囲むひとつながりのランドスケープは、施設ごとで塀に囲まれ、交通をさばくための移動の公共空間に分断されていて、少し居心地が悪い。パブリックスペースでの活動は、人々が場を占める時間や、入れ替わりの頻度とパターン、行為の多様性などが次に起こる行為に影響を与える。そうした行為の連鎖がパブリックスペースの質を醸成する。街路や公園、待合せ場所、イベントスペースに蓄積された無数の時間の使い方が、その場に合った利用を定義する。公共性とは人の集まる所に現れる潜在的なものである。同時に、固定化してしまった公共の質を利用のあり方によって変えるおおらかさをあわせ持つのもパブリックスペースの特徴であり、パプリックデザインが新たな息吹をもたらし、方向付けてきた。