2020年の都市に何が可能か

摘要

2月号は「未来と生きる」という特集です。20世紀から現在に至るまで、ロボットや宇宙開発技術など、ハイエンドな技術がどう生活を変えていくかという予測は、SFも含めさまざまにされてきました。一方で、現代は大上段から発展的な未来を語れる時代ではなくなりつつもあります。そんななかで、実践的に新しい技術で新しい体験を創造している斎藤さんにインタビューをお願いしました。齋藤いきなり期待されている話ではないと思いますが、実は今、自分の家を建てていて、そこにはハイテク機器はほと·んど入っていません。僕はコロンビア大学にいたころアルゴリズムによって建築を設計していましたが、今の自分が住もうとしている家はかなりアナログです。壁は垂直が使いやすいとか、十分な収納、日当たり、駅からの距離など、生活レベルの問題があります。思想と現実には差がありますし、建築家の扱う形態学、理論と世の中の建築プロジェクトのかかわりは残念ながらわずかです。現代では情報通信技術がいろいろあり、携帯電話がスマートフォンになり、という変化が起きていますが、自分たちの手に届く解像度の高い環境のなかでは、デジタルな技術はあまり介在しない方が人間らしいと考えています。マウスのボタンはニつですが、100年後に人間が2本指になるわけではないし、5本指の2足歩行であることは変わりません。